2022.06.23
環境を考える

化石燃料の枯渇は100年後? 可採年数や枯渇することで起こりうること

depletion-of-fossilfuels

二酸化炭素の削減やSDGsなど環境に配慮した動きが、世界的に高まっています。
その際、挙げられるテーマのひとつに化石燃料の枯渇」があります。

化石燃料とは主に、石炭や石油、天然ガスなどを指し、大昔に存在していた動物や植物が長い年月をかけて地中で変化してできたもの。
実はそれぞれ、以下のような動植物が元になっているのです。

  • 石油:主にプランクトンが高圧にさらされて変化したもの
  • 石炭:数百万年以上前に存在していた植物が、地中に埋没して炭になったもの
  • 天然ガス:古代に生息していた動植物が、土の中に堆積して作られたもの

当たり前に使われている化石燃料ですが、もちろん無限ではなく、将来的には枯渇していくと予想されています。
そこで本記事では、化石燃料が枯渇するまでの可採年数や遍歴、枯渇することによって起こりうることなどについて紹介します。

化石燃料は、残り100年ほどで枯渇する?

化石燃料の生成には非常に長い時間がかかるとともに、人間の手で生産することはできません。
そのため、生成のスピードより、人類が使用するスピードの方が早ければ、化石燃料は枯渇してしまうのです。

実際のところ、化石燃料の消費量はどうなのでしょうか。
結論から言うと世界全体で消費量は伸びており、特に生活スタイルの変化や各国の経済成長によって、今後も大幅な増加が見込まれています。
中国、またアジアなどの発展途上国を中心とした地域では、特に化石燃料の消費量が増えてきています。

そのため資源をめぐった化石燃料の獲得競争が、近い将来、世界的に激化すると言われており、日本国内でも安定的な確保が重要案件になってきます。
各化石燃料の動向を見ていきましょう。

石油:生産量は、2030年から下り坂に

【確認埋蔵量】1兆7399億バレル
【可採年数】50年

石油の生産量を地域別で推測した結果、2010年から2030年にピークを迎える国が多く、その後の生産量は下り坂になっていくと言われています。

石油の採掘量に限界があることを「ピークオイル説」と言います。

ピークオイル説によると、ピーク以降に減っていく生産量に対し、中国やインドといった新興国では需要が更に増していくことから、需要と供給が追いつかずに、多くの国で危機的な石油不足になることが予測されています。

ピークオイル説そのものが正しいかはわからない部分があるのですが、自動車や電力、化学原料といった生活に必須のアイテムを作るために石油は欠かせないものであることはたしか。
そのため、今後も使用量が増えていくことは容易に予想されます。
かと言って、今すぐ他のエネルギーへの転換も進めるわけにもいかないのが実情なのです。

日本の石油消費量は?

化石燃料を自国で確保できない日本では、全体量のうち86%もの石油を、主要産油国である中東から輸入しています。
情勢が不安定な中東に頼り切っていることから、原油価格がなかなか安定しないという特徴があります。
現に1970年代に起きたオイルショックでは、日本国民の生活に大きな影響を与えました。

石炭:実は一番埋蔵量が多い石炭。今後の活用が期待されている?

【確認埋蔵量】1兆696億トン
【可採年数】132年

産業革命後、社会の発展において大きな役割を担ってきたのが石炭です。
燃料だけでなく、都市ガスや化学工業など様々な場面で活躍してきましたが、20世紀に入ると石油がエネルギーの主役となり、石炭の使用量は減少していきました。

石油の方が扱いやすいことに加えて、石炭は二酸化炭素の排出量が多いだけでなく、硫黄酸化物、窒素酸化物といった多くの有害物質を発生するため、環境にはあまり良くないという側面もあります。

しかしその一方で、現在は研究や技術が進んだことで、「石炭ガス化複合発電」と呼ばれる、石炭をガスにして使用する発電方法が開発されました。
そのため、環境に配慮した形で石炭を活用できる未来が近づきつつあります。

また、石油より埋蔵量が多い点も特徴のひとつ。
可採年数は132年(BP統計2020年版)と非常に長いことに加えて、コストも安く、安定した供給が可能です。

実は、石炭はさらなる活用が期待されているエネルギーでもあるのです。

天然ガス:技術革新により、格段に扱いやすくなった天然ガス

【確認埋蔵量】199兆ミリリットル
【可採年数】50年

メタンを主成分とする天然ガス。
有害な一酸化炭素をはじめとする不純物をほとんど含まず、燃焼したときの窒素酸化物、二酸化炭素の排出量が、石炭や石油より少ない点が特徴です。

環境に良いのがメリットですが、扱いが難しいというデメリットもあります。
気体のまま大量に輸入することが難しいため、日本での使用率は低く、かつては全体のエネルギー使用率の1%にも満たないほどでした。

しかし現在は技術の発展もあり、天然ガスを液化することが可能になりました。
コストを下げて大量に輸入することができるようになり、2014年には使用割合が24.2%まで割合が増加しています。

天然ガスは、石油や石炭と比較しても環境に優しい燃料であることから、たくさんの注目を集めています。
2019年末時点での可採年数は約50年と短いものの、技術革新とともに採掘がもっと盛んになり、可採年数が伸びるのではないかと期待を集めています。

また、天然ガスの産出国は世界の様々な地域に分布しているという地政学的なメリットもあります。
産出場所は、中東が約3割、欧州やロシアが約3割。エネルギーを輸入に頼るしかない日本にとっては、安定した獲得を続けるうえで、リスク分散に繋がります。

人類の発展に欠かせない化石燃料

そもそも、化石燃料が使われるようになったのはいつ頃でしょうか。

18世紀に起きた産業革命によって、現代社会にも繋がる様々な機械や乗り物が開発されました。
この頃から、化石燃料は大量に消費されるようになります。
当時使われていたエネルギーは石炭がほとんどですが、1860年代にアメリカで石油が発見され、メインエネルギーが石炭から石油へ大きくシフトしていきました。

現在は、エネルギー使用量のうち9割を石油、石炭、天然ガスなどといった化石燃料が占めている状態です。
その化石燃料の中でも石油がメインで使われており、自動車をはじめとした様々な製品に活用されており、人類の発展には欠かせない要素となっています。

​​化石燃料の可採年数は変化する。しかし……

化石燃料も無限ではありません。

現時点での残りの可採年数(確認埋蔵量)は、石油50年、石炭132年、天然ガス50年と言われています。

この数値は絶対ではなく、世界情勢、また各国の消費量の変化、採掘・精製技術の発展などにより変化しますので、伸びる可能性も大いにあります。

しかし、だからといって化石燃料をたくさん使って良いわけではありません。
たとえ新たな油田を発見しても、現代社会での石油の使用量を考慮すると、1〜2年分程度にしかならないと言われています。
いくら技術が進歩しても無から有を作り出すことはできませんので、使用コストを下げて使い続けるしかないのです。

資源は有限であり、埋蔵量には必ず限界があります。
正確な日付はわかりませんが、いつかは枯渇してしまうのはたしかなのです。

化石燃料が枯渇すると、どんなことが起きる?

化石燃料の枯渇が見え始めると、これまで良質とされていた燃料が劣悪なものにかわっていき、世界的にも量が減って価格が上昇していきます。
そうすると資源の奪い合いになり、情勢が不安定になるどころか、戦争の発生にも繋がっていきます。

少し前までであれば、化石燃料が枯渇したとしても、枯渇する頃には新たな化石燃料が登場するのではないかと期待されていましたが、実際はそう簡単にいきませんでした。

​​化石燃料に代わるエネルギーとして注目を集める再生可能エネルギー

そこで現在、化石燃料に代わる新たなエネルギーとして注目されているのが、再生可能エネルギーです。

経済産業省によると、再生可能エネルギーとは「太陽光、風力、その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができるもの」と定義されており、具体的な特徴としては以下が挙げられます。

  • エネルギーの元となる資源が枯渇しない
  • 二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスを排出しない
  • 場所を問わず、様々な環境でエネルギー源を調達できる

具体的には、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電などが、こちらに当てはまります。
再生可能エネルギーは、化石燃料に比べると無限と言えるほど、使用年数が長いことが特徴。
また環境にも優しいことから、現在注目を集めています。

 

まとめ:化石燃料の枯渇と脱炭素化のために、再生可能エネルギーの活用を

化石燃料の歴史と今後、また可採年数や枯渇によって将来起こり得ることについて、考えてきました。
化石燃料にはいつか終わりがきますし、環境負荷を考えたら、徐々に使用を減らしていくのが良さそうです。

その際に、代わりとなり得るのが再生可能エネルギーと言えるでしょう。

もちろん、再生可能エネルギーにも問題はあります。安定した供給量を保てるのか、コスト面で高くなってしまわないのか、地域との連携はどうするのか等、考慮しなければいけないことが山積みとなっています。
しかし、化石燃料が枯渇してからでは行動が遅いのです。今こそ、再生可能エネルギーに関心を寄せるべきときだと言えます。

タイトルとURLをコピーしました