2022.07.08
環境を考える

無限のエネルギーは存在しない! 膨大なエネルギーを利用した発電方法とは

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年々増え続ける世界のエネルギー消費量。
エネルギーのほとんどを化石燃料に頼りきってしまっている私たちですが、遅かれ早かれ、いずれ化石燃料は枯渇していきます。

仮に、無限のエネルギーがあったとしたら枯渇問題はあっという間に解決できますが、無限のエネルギーは存在しません。
しかし、無限に匹敵する膨大なエネルギーから、電力を供給できるとしたらどうでしょうか?

この記事では、無限に近いほど膨大なエネルギーや、そのエネルギーを活用した発電方法についてご紹介していきます。

無限のエネルギーは存在しない。しかし……

再生可能エネルギーのひとつとして活用されている太陽からは、無限にエネルギーを得ることができると言われていますが、厳密には太陽も「有限である」と言えます。

なぜなら、太陽にも寿命があるから。太陽の寿命はおよそ「50億年」と言われています。

「50億年」と聞くと、とても遠い未来に感じますよね。
人類史からすると気が遠くなるほど長い歴史を持つものについては「無限に近い」と言えるのではないでしょうか。

膨大なエネルギーが、宇宙にも地球にも眠っている!

月面の水資源を、ロケットに生かす?

地球から飛び出し、宇宙をみてみると、膨大なエネルギーを持つ資源が未知数にあるとされています。
それらは「宇宙資源」と呼ばれています。

そんな宇宙資源をエネルギーとして活用できないかといった研究も進められており、その中でも最も注目を集めているのが、月面の「水資源」です。
最近の調査において月に水の痕跡を示す観測データが観測され、地下に水が眠っているのではないかと考えられています。

もし、月の水資源を活用できた場合、水を水素と酸素に分解することでロケットの燃料にすることができると言われています。
また重力が軽いという月の特性を活かし、ロケットの発射拠点を月面に作り、そこから今まで行けなかったような、より遠くの天体を目指して飛び立つことも可能です。
それができるようになれば、さらに優れた資源を獲得できるかもしれません。

しかしこれはまだ推測の域を出ません。採取と活用には、実現には膨大なコスト、時間、様々な専門家や企業の協力が不可欠のため、実現には時間がかかるでしょう。

課題は多くありますが、決して夢物語ではないのが、月面の水を使うという方法なのです。

太陽が持つエネルギーとは

さて、太陽に話を戻しましょう。

地球には毎日、太陽光が降り注いでいます。
この太陽光ですが、実はたった1時間で、地球全体で使用するエネルギーのおよそ1年分に匹敵する12,000,000,000,000(12兆!)kWが降り注いでいるのはご存じでしょうか?

とてつもない量のエネルギーが降り注いでいるだけでなく、発電に活用しても地球への害がほとんどない。
さらには、この先50億年は尽きることがないという点から、他のエネルギー源と比較しても、とても優れたエネルギーなのです。

また、資源に乏しい日本では、国内で製造できるエネルギーとして太陽光発電が重宝されており、太陽光パネルの設置は一般住宅にまで浸透しています。
みなさんも住宅の屋根に太陽光パネルがついているのを見たことはありませんか。

世界に目を向けると、日本での普及率は圧倒的で、実に47.5%。
まだまだ発電量は小規模ですが、浸透度合は高いのが特徴です。

超臨界流体って知ってる? 次代をつくるエネルギー源

世界各地で、地熱発電を効率化する熱源を目当てに、井戸の掘削が積極的に行われています。

そんな状況の中で、イタリアのトスカーナ州にあるアペニン山脈が注目を集めています。

その丘陵地帯の地下の最深部には、温度も圧力も非常に高い「超臨界流体」と呼ばれる超高音の流体があります。

超臨界流体は、気体と液体の両方の性質を持っており、地下の深部から抽出することが可能になれば、無限ともいえるクリーンエネルギーが手に入ることになります。

今すぐにでも手に入れたいこの超臨界流体ですが、採掘を進めることで巨大な岩体がずれる恐れがあり、その影響で、地震が発生する可能性もあります。

また、Kホライゾン層と呼ばれる未知の境界線を突破し、超臨界流体に到達した際に、どのような現象や問題点が発生するかは未だ解明されておらず、その危険性がはっきりしていません。
注目を集めているエネルギーですが、今後の実用化は未知数です。

2020年2月に発表された『ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ』内の論文では、超臨界流体の採掘を進めても地震を誘発しないということが証明されました。
この論文を受けて、安全性が証明されれば、今後の地熱発電の効率化は進んでいくのではないでしょうか。

膨大なエネルギーを利用できる発電

現時点で、太陽と地球のエネルギーを活用して発電する手法として、「太陽光発電」と「地熱発電」の2種類があります。それぞれの発電方法について詳しくみていきましょう。

太陽光発電とは

太陽光発電とは、シリコン半導体に光が当たることで発生する電気を利用し、太陽光のエネルギーを太陽電池で直接、電気に変換する発電方法で、再生可能エネルギーの中のひとつの手法と言えます。

太陽光発電のメリット

  • 二酸化炭素や有害物質を排出しない
  • 資源は無限
  • 設置地域に制限がない
  • 一般家庭でも導入しやすい
  • 災害時にも発電可能

太陽光発電のデメリット

  • 雨や雪の日は発電が難しい
  • 日照量によって発電量が異なる

デメリットはあるものの、資源の乏しい日本では、国内で賄える貴重なエネルギー源として普及が進んできました。
さらに、導入コストも年々下がってきており、各家庭で太陽光パネルを積むことも少なくない日本では、最もメジャーな再生可能エネルギーとも言えるのではないでしょうか。

さらに、SDGsの観点からも注目されている発電方法であることから、今後もますます導入が進んでいくことと思います。

超臨界地熱発電とは

超臨界地熱発電とは、超臨界水(温度374度、圧力22.1MPaを臨界点と呼び、それよりも高い温度と圧力を持った水のこと)を利用した発電方式のことを指します。
この方式を用いることで、原子力発電に匹敵する発電量が得られるのではないかと言われてることもあり、注目度の高い発電方法のひとつです。

この超臨界地熱発電の実用化に向けて、NEDO(持続可能な社会に必要な技術開発の推進を通し、イノベーションを創出する国立研究開発法人)が開発を進めていますが、課題も持ち合わせています。

超臨界地熱発電の課題

  • 超臨界水が500度の高温であるため、溶解性が高く、酸性に変化する恐れがある。強い酸性になってしまうことで発電システムに用いる機材にはどのようなものが適しているか、研究を進める必要性がある
  • 掘削に時間がかかる
  • 500度の高温部分を掘削するには、どのような機材が適しているか、研究を進める必要性がある

このように、超臨界地熱発電を実用化するには、まだまだ研究が必要なことが多く、問題点は山積みです。

しかしその一方で、超臨界地熱発電への期待は非常に高く、2016年に制定された「エネルギー・環境イノベーション戦略」では、温室効果ガスの排出量が少なく、有望な革新的な技術として紹介されています

このことをきっかけにNEDOでの開発が始まり、現在も研究が進められています。

まとめ:化石燃料が枯渇するのが先か、人類の技術革新が先か

今は、限りなく無限に近いほど膨大と言われるエネルギーを持つものや、そのエネルギーを活用した発電方法についてご紹介しました。

私たち人間の身の回りにあるものを更に高い視座を持ち、惑星や宇宙といったレベルまで広げて目を向けると、無限に近いエネルギーが存在していると言えます。

いずれ化石燃料は枯渇します。これは揺るぎない事実であり、絶対に避けることができない未来です。

そんな未来で我々人類は、化石燃料の代わりになり得るエネルギーを手に入れることはできているのか。

今後の研究に、期待が集まります。

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