未来へつなぐ
2025.08.11

「藻」がミライの漁業を救う!?『うま藻』を生産・販売するAlgaleXにインタビュー!

天然のマグロが数十年以内に食べられなくなる……そう言われて、あなたはどう感じますか?
実は今、マグロを含めた天然魚の漁獲高が大きく減少しているのをご存知でしょうか。実際に1980年と2023年を比較してみると、世界のマグロの漁獲高は約80%程度減少しており、その他の天然魚も減少傾向にあります(※)。
このような状況を改善するために、藻を使った商品『うま藻』で養殖魚の育成を目指してるのが、沖縄県うるま市に本社を置く株式会社AlgaleX(アルガレックス)。
「藻とマグロに何の関係があるの?」と、なんだか不思議に思いますよね。そこで今回、AlgaleX代表の高田社長に天然魚の現状、また『うま藻』についてインタビューしました!

※『令和6年度 水産白書』より

Q.高田社長、本日はよろしくお願いします。まず、日本の天然魚の漁獲量の実態を教えてください。

一言でいうと、漁獲量は大幅に減少しています。日本の漁獲高は、ピーク時には約1,300万トンでしたが、現在は約400万トンを下回るほど。実に70%近くも減少しているのが現状です。これは、日本だけの傾向ではありません。世界でも漁獲高は減少傾向にあり、アメリカの科学学術誌『Science』によると、2048年に天然魚は食卓にのぼらなくなると予想されています。

Q.天然魚の漁獲高が減っていることは度々ニュースでも耳にしていましたが、そこまで危機的な状況なのですね。そうしたら養殖魚を食べれば良いと考えてしまいますが……。

それは大きな誤解です。なぜなら、養殖魚が成長するためには、天然魚を食べる必要があるから。魚を育てるためには当然ながら餌が必要ですが、天然魚からのみ摂取できるDHA(※)が成長には不可欠のため、養殖魚を育てるために天然魚を食べさせているのが実情です。そのため、天然魚がいなくなってしまったら自ずと養殖魚も育てられなくなります。

また天然魚が獲れなくなるということは、漁業をはじめとしたそこに関わる産業が成り立たなくなるということでもあります。天然魚が獲れなくなることで、漁業が成り立たず、養殖魚も育てられず、結果的に魚が食べられなくなる……そんな未来が待っている可能性もあるのです。

※DHA…必須脂肪酸の一種。脳や目の網膜、心臓などに多く含まれる栄養素。特に青魚に多く含まれている。

Q.負の連鎖が生じて、魚そのものが食べられない未来が訪れる可能性もあるのですね。解決策はあるのでしょうか?

私たちは、DHAを天然魚以外から供給できれば、天然魚の消費量を抑えられるのではないかと考えました。そこで目をつけたのが「オーランチオキトリウム」と呼ばれる「藻」です。身近な藻類には、わかめや昆布、海苔、もずくといった海藻がありますが、オーランチオキトリウムは微細藻類と呼ばれる極小の海藻。水面に浮かぶマングローブの葉の裏に生息している藻類です。

顕微鏡で見たオーランチオキトリウム

一般的な知名度は高くありませんが、オーランチオキトリウムはDHAを有していたり、炭化水素を高効率で生成・蓄積するため、様々な分野で活用が期待されています。
しかし育てるのが難しく、味も美味しくないため、食品への応用はうまくいかないケースがほとんどでしたが、私たちは食品化に成功しました。それが『うま藻』です。

代表的な商品が、パウダー状の『うま藻』。味は美味しく、DHAが特に豊富。ECサイトやショップで販売するとともに、今後は養殖魚の育成に『うま藻』を取り入れてもらうことで、餌としての天然魚の利用を減らしていくことが、私たちの目標です。

Q.『うま藻』にはどんな栄養成分が含まれていますか?

DHAは真鯖の13倍、GABA(※)はトマトの9倍、アルギニン(※※)はニンニクの3倍ほど含まれています。1袋は少量ですから、パスタにあえたり、肉料理に振りかけたりと、様々な方法で利用することができます。
魚を毎日1匹食べるのは大変ですが、『うま藻』であれば毎日無理なく摂取できるのが大きなメリット。健康に必要な栄養を、手軽に摂取することができます。

味は、昆布と貝の味のうま味を合わせ持つことが特長。そのため、もともとの料理の味を損なわず、調味料のひとつとして活用できます。少量で、美味しく、様々な栄養が摂取できる。そんな『うま藻』の利用価値は非常に幅広いと感じています。

※GABA…アミノ酸の一種。緊張やストレスなどをやわらげる、脳の興奮を鎮める、睡眠の質を高める、血圧を下げるといった機能を持つことで知られている。
※※アルギニン…アミノ酸の一種。成長ホルモンの分泌促進、免疫力向上、血流改善、疲労回復、生活習慣病予防などの効果が期待されており、近年ではエナジードリンクの主成分にもなっている。

編集部でも実際に、『うま藻』を食べてみました!

そのまま舐めてみると、濃厚な旨味と若干の苦味を感じるのが特徴。塩味はありますが辛さはなく、調味料としては何ら違和感はありません。

ご飯にかけて食べてみると、より『うま藻』の味が引き立ちます!
高田社長としては「パスタにあえる」のがオススメとのこと。『うま藻』だけでも味付けになりますし、通常の料理に振りかけても味付けをこわさないほどよい風味が印象的ですので、何にでも合うのではないでしょうか。

Q.編集部でも『うま藻』を食べてみましたが、美味しかったです。レストランでも『うま藻』は取り扱われているのですか?

はい。私たちの考えに共感してくれたたくさんのレストランが、和洋中問わず『うま藻』をメニューに取り入れてくれて、それぞれ創意工夫を凝らしたメニューを開発しています。ぜひみなさんも様々な場所で『うま藻』を使った料理を召し上がっていただきたいと思っています。

Q.様々なところで『うま藻』が広がっているのですね。今後の目標を教えてください。

私たちの最終的な目標は、『うま藻』を広げるだけでなく、『うま藻』を使った持続可能な水産養殖の実現。そこに向かって、まずは商品販売を軌道に乗せることで、足場を固めていきたいと思っています。
そのために取り組んでいきたいのが、販売チャネルを持つ企業とタッグを組むこと。毎日のご飯をより美味しくしながら、より手軽にDHAを摂取できることを伝えることで、養殖事業への基盤を作っていきたいと思っています。

水産養殖を、世界で初めて成功させたのは日本です。日本生まれの技術が世界に広がりましたが、世界を救う養殖技術を生み出すのも、また日本でありたいと思っています。
私たちの取り組みが世界に広がっていけば、海の魚がきっとまた帰ってきてくれる。心からそう思っています。

Q.ありがとうございます。最後に、本記事を読んでいる読者にメッセージをお願いします!

これまで、私たちはただ自然の恵みを獲ってきました。しかし今こそ、産業を持続性ある形態に変えていかないと、日本の漁業、そして食産業そのものが続かなくなってしまいます。私たちは『うま藻』を使った魚の養殖を実現していくことで、100年後の漁業の存続に貢献していきたいと思っています。

ちなみに、「魚を食べると頭が良くなる」なんて言葉がありますが、それはまさしくDHAのおかげ。『うま藻』は手軽にDHAを摂取できるので、ぜひ食べてみてください!

高田社長、ありがとうございました!

当たり前に食べていた魚が食べられなくなるかもしれない……食の豊かな日本で、そんな未来があり得るなんて想像もしていませんでした。
しかし、そんな状況を解決するために、挑戦を続けるAlgaleX。いつか私たちの食卓に、『うま藻』で育った魚料理が並ぶかもしれません。

『うま藻』は、美味しくて、栄養が豊富で、環境にも良い、メリットだらけの食材です。少量で普段の食事にトッピングするだけで食べられるため、ぜひみなさんも普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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