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2022.09.21
暮らしを考える

【のこすくらし vol.2】日本で貧困!?「隠れた貧困」をなくすためにできることとは?

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『くらしとエコと』ライターのMobi(モビ)です!
【のこすくらし】では、「誰一人取り残さない」ことを目指して、SDGsを題材に一人ひとりが今この瞬間からできることについて書いていきます。

第2回となる今回は、SDGsの『①貧困をなくそう』をもとに、日本における見えない貧困を救うために私たちができることについて書いていきます。

1. 外からは見えにくい “隠れた貧困”

モノやサービスに溢れ、国の制度も充実しているこの豊かな日本において、「貧困」という言葉はあまり馴染みのないものかもしれません。しかし、実は日本国内においても貧困問題は潜んでいることをご存じでしょうか。

クラスメイトの5人は貧困…?

そもそも、「貧困」には大きく2つの種類があります。

  • 絶対的貧困:生活や生命を維持することが難しいほどの貧困状態のこと
  • 相対的貧困:国の生活水準や文化水準を下回る貧困状態のこと

日本において、絶対的貧困があることは考えにくいでしょう。国の制度もサービスも充実している日本で、命に関わるほどの貧困が起きていることはまずないといえます。

日本における「隠れた貧困」とは、相対的貧困です。
『平成29年版厚生労働白書』によると、2015年の日本の相対的貧困は15.7%であると発表されました。つまり、国民の約6人に1人は、日本全体の水準を下回る生活をしているということになるのです。たとえば、学校で30人のクラスがあったとすると、そのうち5人は相対的貧困であるということになります。クラスメイトの5人が水準以下の生活をしていると考えてみると、驚きかもしれません。

相対的貧困の本当の問題点

では、相対的貧困の問題点とは何でしょうか。

相対的貧困は、絶対的貧困に比べると貧困の具合が外部からは見えづらく、必要な支援を届けづらいという問題があります。そして、相対的貧困の人たちは「生きていくことはできるから助けを求めづらい」といったことや、中には自分が相対的貧困であることを認識していないということも少なくありません。

さらには、相対的貧困家庭では子どもの精神状態への影響も大きくあります。
小学校高学年にもなると、学校にいけばクラスメイトとの経済状況や生活水準の違いを徐々に認識し始めます。一見すると少しの差であっても、思春期に突入する時期の子どもに与える精神的影響は決して小さくありません。

2. 「知らない」という格差を埋めるために

このような「隠れた貧困」を救うため、日本には公的制度や民間団体によるサービスが数多くあります。

▼公的制度例

  • 家計改善支援
  • 生活困窮世帯の子どもの学習 / 生活支援

▼民間サービス例

  • 就労支援系
  • 教育支援系

しかし、それらの制度やサービスを、相対的貧困にある人たち自身が「知らない」という可能性もあります。

分断された社会における情報格差(デジタルデバイド)

ネットインフラの整備とスマートフォンの普及によって、現代では誰でも簡単に情報にアクセスすることができる時代となりました。
これは、一見すると「誰でも平等に情報を得ることができる」と思えるかもしれません。しかし、実はネット社会であるからこその情報格差(デジタルデバイド)が起きていることを知っていますか。

私たちは、かつてのテレビや新聞等の媒体から、スマートフォンやパソコン等を機器を用いて情報を得ることが一般的となりつつあります。こうしたツールで情報収集する際、主要なSNSや検索ツールにおいてはアルゴリズム化(自分に最適化)されていきます。
すると、画面にはいつしか自分が普段見ている情報と似ている情報ばかりが表示されていくことになります。そして、自分の知識や興味の範囲外の情報を仕入れることが難しくなってしまうのです。

また、日々出会う人や身を置く環境によって、自分が触れる情報には大きな差があります。
普段関わる人たちが情報感度の高い人であれば様々な情報が入り、そうでなければ入ってきません。都心部か郊外かによっても、情報量は大きく変わってきます。

このように、情報が溢れる社会だからこその問題によって、「知らない」という格差が生まれてしまっています。

自分が当たり前に知っていることで救われる貧困がある

相対的貧困は、6人に1人は該当するとされ、外部からは見えづらいという特徴があります。つまり、自分の身近にも相対的貧困状態にある人が潜んでいる可能性はあるのです。

自分が当たり前のように知っている情報を、他の人も同じように知っているとは限りません。国の制度や民間団体のサービスはもちろん、自分が知っているちょっとした役立つ情報によって少しでも救われる人が案外近くにいるかもしれません。

まとめ:その情報が貧困を救う!

今回は、日本においても「相対的貧困」という問題が潜んでいることを述べてきました。
日本人の6人に1人は水準以下の生活をしているとされ、子どもの貧困も問題となっています。
こうした相対的貧困を救うことができ得る制度やサービスがある一方で、「情報格差」によって当人たちに届いていない可能性もあります。

もしかすると、私たちの身近に実は相対的貧困に悩まされている人がいるかもしれません。また、現在はそうではなくとも、誰でも今後相対的貧困となる可能性はあります。

有益な制度やサービスなどの情報を自分の中に留めず、情報を身近な人たちに伝えていくことが相対的貧困問題を解決する一歩ではないでしょうか。

 

<今日、のこすこと>
【のこすくらし】では、 「今すぐにできる行動」を “今日のこすこと(きょうのこ)” というコーナーで書いていきます!

今回の “きょうのこ” は、『知っている有益な情報を、SNSで拡散したり、身近な人に気軽に伝えてみたりする』です。私たちが持っている情報を遺していくことが、誰一人取り残さない社会をつくるための第一歩かもしれません。

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