2022.04.07
環境を考える

モノ消費からコト消費。そして「サステナブル消費」「エシカル消費」へ

toward-sustainable-consumption-and-ethical-consumption

サステナブル消費・エシカル消費が、今注目を集めている

「サステナブル消費」「エシカル消費」という言葉を知っていますか?

 サステナブルは「持続可能性」と訳されますが、消費という意味でのサステナブルは、長く使えるものを最低限だけ購入する、ということ。

 エシカルは、「人・地域・環境に配慮した行動」という意味があり、人・地域・環境に配慮した購買行動をエシカル消費と言います。エシカルという言葉は倫理性・道徳性を表し、たとえ法律で定められていなくとも、多くの人々が正しいと思える社会的規範を表す言葉として認知されています。

 例えば、環境省の発表によると、日本のCO2排出量の約15%が、そして食品ロスの約50%近くが、家庭から排出されています。これらの数値を下げていくためにも、サステナブル、エシカルといった考え方は、重要になっていくでしょう。

コト消費の先に、サステナブル消費・エシカル消費がある

 数年前に、「コト消費」という言葉が注目を集めました。コト消費とは「製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受したりするのみでなく、個別の事象が連なった総体である『一連の体験』を対象とした消費活動」と、経済産業省に定義されています。

 つまりは、たんなる「モノ」の所有ではなく、その場所、その商品でしかできない経験や体験=コトを、価値にするという考え方です。

 たとえば、2016年4月に銀座松坂屋の跡地に作られた「GINZA SIX(ギンザ シックス)」。こちらはコト消費の代表のひとつとも言える建物です。

 コンセプトは「Life At Its Best(最高に満たされた暮らし)」。その言葉の通り、ファッション、アート、フード等、あらゆるジャンルにおいて、豊かなライフスタイルを彩る店舗が集結しているため、たんなる高級志向ではない、暮らしそのものを豊かにしようという思いが隅々にまで行き渡った施設となっています。

 そのなかでも面白いのが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)が運営する「銀座 蔦屋書店」。本を介してアートと日本文化、そして暮らしをつなぎ、「アートのある暮らし」を提案しているのが特徴です。書店の隣にはスターバックスコーヒーが併設しており、コーヒーを楽しみながら洗練された空間で、芸術や文化に触れることができます。

 モノ消費は、大きな金額を使い、どれだけ高級なモノを手に入れられるか、もしくは少しでも安くお得な商品を手に入れられるかが主眼とされていました。工業製品の値段と機能のみに注目が集まっていたのです。

 しかし、コト消費は違います。金額にかかわらず、消費者が豊かな体験をしたと思えるかどうか。それが、価値のものさしとなります。そのため、モノ消費よりコト消費の方が、心を満たす購買行動であると言えるでしょう。

「良い買い物をした」。その「良い」に、新しい可能性を

 この先にあるのが、サステナブル消費エシカル消費です。エシカル消費が、結果的にサステナブル消費につながると言えるかもしれません。欧米ではこのサステナブル消費、エシカル消費が大きな注目を集めていますが、日本でも今後より注目を集めていくのではないでしょうか。

 消費者の意識は、少しずつ「モノ消費」から「コト消費」に。そして「より安く」から「より良い」に変化しています。

 この「より良い」に、心の充足感だけでなく、持続可能性・倫理性といった尺度を加えていく。それが、本当の意味でサステナブルとエシカルを実現する一歩となります。

 日々生活する上で、消費は避けることができません。しかし、消費の在り方を捉え直すことが、暮らしと、地球を豊かにすることにつながっていくのではないでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました